【Interview】沖縄のコアなヒップホップ好きが集まるBar:OverRap(オーバー・ラップ)に突撃

イマダさん
 

夜な夜なヒップホップ好きや、オーナーの人間性に惹かれた人間が集まり、朝方まで語りあうことのできるBar。
 
沖縄の繁華街の那覇市久茂地に位置し、今年で9年を迎えたOverRap。オーナーのイマダさんこと新城さんは、これまで沖縄のヒップホップシーンを間近で見続けて来た1人。
 
そんな、Bar:OverRapのイマダさんにOverRap立ち上げの経緯や、沖縄のクラブやヒップホップシーンについて話を伺ってみました。

OverRap(オーバー・ラップ)を始めた経緯は?

元々バーを先輩と共同経営してたけど、そこから独立した感じかな。その時のバーは内装工事も自分たちでやったりして、思い入れもあったけど、やっぱり途中から自分のやりたいようにというか、そういう思いが出てきて独立した。
 
独立の時はタイミングよく出資してくれる人もいたし、30歳だし失敗しても取り戻せると思って始めた感じ。後は、那覇の久茂地っていう一等地でやりたかった。久茂地3丁目と国際通りはやっぱり沖縄の飲食店の中ではブランドだし。
 
店を立ち上げる時は業者に頼んで、元々飲み屋だった内装を全部ぶち壊して自分好みにした。自分でやるからには妥協はしたくなかったからね。
 
どっかで言い訳(逃げ道)を作りたくなかったから作りたい店作って、場所も久茂地にして、完璧な環境で始めて、それでダメだったら単に自分の実力不足ってことになるから言い訳が訊かないじゃん?

 

客層は?

ここ2〜3年は観光客の新規のお客さんも来るようになったけど、基本はほとんど常連と知り合い。後はどんどん知り合いの紹介とかで広がってるね。客層は30代が多いかな。
 
ビジネス的に考えれば新規はどんどん増えてった方がいいと思うけど、今のスタイルは崩したくないから、今の感じが良いのかな?
 
正直、来るのがイヤだったら来なくて良いし、頭下げてまで来てくださいってスタイルではないから。ぶっちゃけ別にお客さんは神様ではないからね。それじゃあ経営が成り立たない部分もあるけどwお店の雰囲気も落ち着いて飲めるシックな感じが最初からのイメージだったから、あんまりガチャガチャしてもね。

 

バーの経営前はクラブで働いていたとか?

19歳ぐらいの時に前OPA(オーパ)の中にあるレストランで働くようになって、上の階にはクラブ “ワイルド・チェリー” があったから、仕事の後は毎日クラブで遊んでた。
 
そこから『お前、毎日来るんだったらここで働けば?』ってことになってクラブで働くようになった。 “ワイルド・チェリー” はその当時、那覇で1番客が入ってるクラブだったね。
 

“ワイルド・チェリー” で働いていた期間は?

ここは、俺が入って半年で潰れたっていうかw、ビルとオーナーが揉めて出た感じw その後は系列に “スエル” っていうクラブ(現 “エイリー” の場所)があったから、そこに全員で移ったって感じかな。
 

イマダさんが関わったクラブは全部潰れるっていう都市伝説を耳にしたことがあるんですがw

うん。そこからもう始まってたよねwww “ワイルド・チェリー” から始まって4つぐらいのクラブに関わったけど、今は全部ないっていうww
 
でも、 “スエル” 時代には23歳か24歳ぐらいの時に店長させてもらってたから、その時の経験は結構いい勉強になったかな。
 

当時はどんな曲がかかってた?

ちょうどRuff Ryders(ラフ・ライダーズ)とかDMX(ディ・エム・エックス)とかDefJam(デフ・ジャム・レコーディングス)の勢いがあった頃だから、そういった曲が主にって感じかな。それ以外には、ハウスとかミーハーなダンスミュージックみたいな。
 
クラブって踊りに来る人もいるけど、ナンパ目的が多いから、やっぱり流行ってる曲をかけるってのがどうしても多くなるよね。
 

クラブの立ち上げにもいくつか関わったとか?

そそ。立ち上げに関わったのが、 “スエル” で働いて2年目ぐらいの時に、先輩が松山で “キューブ” ってクラブを立ち上げるって事になって、そこの立ち上げに関わったけど失敗した。それと同時期ぐらいに元 “ワイルド・チェリー” の場所に “クランベリー” が立ち上がる事になったんで呼ばれて。だから、立ち上げに関わったのはこの2回かな。
 

クラブ機材の調達とか大変そう

ケースバイケースだね。元々機材がある状態から始めることもあれば、調達することもあるし、スピーカーとかはバイヤーがいるからそれ通して、中国とかから買ってたね。個人でやってるバイヤーとかが結構いたりするから。
 
今は当たり前だけど、サイリュームとかあるでしょ?(光るリストバンド的なヤツ)今は100均とか2.3本入りで100円とかで売ってるけど、あの時は1本あたりの原価が100円以上してたから、中国で1本何十円とかで仕入れてた。
 

クランベリーで300円とかで売ってましたよね?w

そそw結構良い商売だったよw

 

沖縄出身で今活躍中のアーティストとかも遊びに来てた?

いや。どちらかっていうとダンサーが多かったね。ラッパーは結構少なかったよ。ラッパーは “スラム” ってクラブとかに溜まってた。そこではオープンマイクっていうイベントとかをやってて、そこに若いラッパーは溜まってたね。当時は、ナンパしたい奴はこのクラブとか、DJしたい奴、ラッパーはここ、みたいな感じでそれぞれ行くクラブが決まってたね。
 

オーバー・ラップには?

ちょいちょい来るよ。先週末にはRITTO(リット)が7月26日リリースする「アブサン」とかも持ってきてくれたり、POPO JHONNYNHO(ポポジョニー)とかもCD出たりするたびに持ってきてくれるし、お店で結構いろんな曲とかかけるから、いろんなDJなんかもMIXとか作るたびに、『ここでかけてください。』ってゆう依頼もあったりとか。

 

沖縄出身のアーティストとの繋がりは?

元々DJの知り合いが多かったから、ラッパーとかも紹介されていってって感じ。あとは噂とかもだね。若い子からすると今のヒップホップシーンはわかっても、以前のシーンはわからなかったりとかするじゃん?
 
そういうのとかで、人伝いに『あの人詳しいよー。』とかなって、昔のシーンを知りたい奴が来たりとか。GACHIMAF(ガチマフ)とかは、もともと北谷のやつだけど、どっかで俺の話を聞いたらしく、1人で俺の店に飲みに来て『イマダさんが色々詳しいって噂聞きつけたんで、話聞かせてください。』って風に仲良くなったりもしたし。
 
後はさっき話したPOPO JHONNYNHOが元々レゲエのクルーでワイルドバードってのやってて、あいつらが高校生ぐらいの時から知り合いで、そのポポが赤土とも仲よくて、そのつながりでRITTOとか、同世代のD.D.S(ディー・ディー・エス)とかもいるよね。

 

その世代より前の沖縄のヒップホップシーンについてもちょっとだけ教えてください

KZ(ケイ・ジー)とか、その後とかに出てきた核弾頭だったりとか、県外出身で沖縄に住んでる人たちが立ち上げたM.U.(ムー)っていうクルーとかもあったね。
 
M.U.は7〜8名ぐらいのクルーで、そこに参加してるC響(シーキョー)っていう女性2人のユニットは、めちゃめちゃかっこよかった。こいつらプロいくんじゃないかな?みたいな。ちょうどさんぴんが終わったぐらいで日本語ラップのブームの時だったんだけど。。。
 
残念ながら解散しちゃって。っで、その片割れが今はDJ Echo(エコー)っていう名前で、元DA PUMPのYUKINARIがオーナーしてるクラウドナインっていうクラブとかでDJやってるよ。
 
あとはスクラッチに定評がある、DJ PIN(DJピン)が所属してた、黄金時代だったりとか。
 
そういった世代の後ぐらいに、D.D.SとかRITTOとかGACHIMAFとかに繋がるんじゃない?その頃から那覇でサイファーとかフリースタイルとかも増えたんじゃないかな。
 
カーミヌクー / DUTY FREE SHOPP. feat. HANZO, C響, KZ, 仲村奈月


 

そもそも、イマダさんが日本語ラップにくらったキッカケは?

スチャダラパーだね。中学の時友達の家でMTV観てて、その当時の番組で “YO RAPS” っていうHIPHOPの番組があって、PVとかアーティストのトークとかがある番組で、そこに1回スチャダラパーの “スチャダラカウント10” って曲のPVが流れて、日本人でこういう奴らがいるんだ!!っていう衝撃から始まった。
 
元々USは聴いてたけど、それきっかけに日本語にハマって、それからその曲が収録されてるアルバムを探して買ったのが “スチャダラ大作戦” だった。ただ、その曲をリアルタイムで知ったとかじゃなくて、俺が “スチャダラ大作戦” 買った時には、すでにアルバムも3枚ぐらい出てた時ぐらいだったね。

 
それからしばらくして、EAST END×YURIの “DA.YO.NE” とか、 “今夜はブギー・バック” とかが出て来て日本でもバーンって有名になってきたね。
 
当時 “浅草橋ヤング洋品店” って番組内でラップコンテストの企画があって、まぁそれも出来レースでやらせの企画だったんだけど、そこにKAMINARI-KAZOKU.が覆面で乱入して企画をぶち壊す事件が起きて、それをOAで観てた時はヤバって衝撃を受けたね。そういうのからどんどんハマっていった。
 

今でも昔の日本語ラップとかのレコードは常に探求してる感じ?

うん。全然掘りまくってる。沖縄は今ではレコード買うところが少なくなってて、残ってるレコードショップとかはあんまりいいのは入ってこないから、新譜とかの取り寄せぐらいだけど、県外に遊びにいったりしたらついでにショップ立ち寄ってみたりとか、去年は『さんピンCAMP』に遊びにいって帰りに渋谷で何件も周ったりもした。
 

やっぱり県外だと、いいレコードが見つかる?

あるね。で、値段も昔より落ちて来てる。今はデータで曲聴く時代になってて、データで曲持ってるからレコード買わないって人が多いよね。需要がないから、値段も落ちてるね。昔なんて”証言”とか1枚10万円とかもしたけど、この前見たときは1万円ぐらいで売られてたね。ただ、そのおかげで昔は手が出せなかったレコードとかも、今だったら手が届くぐらいまでなっていたり、逆に当時買ったのが、めっちゃ値段落ちてるっての見るとショック受けることもあるし。
 

ジャンルは全然違うけど、昼は高校の女子サッカー部のコーチもやってるとか?

今は一旦辞めた形にはなってるけど、それでもちょいちょい練習に参加してるよ。現役でちゃんとコーチやってたときは週6回の練習のうち、4〜5回は行ってたね。朝まで仕事して軽く寝て、夕方から練習行って、それから帰宅して着替えて仕事行っての繰り返し。5年ぐらいはそんな感じだったね。
 

本業のオーバー・ラップは来年で10周年を迎えますね

一応はイベントやろうかなぁとは思ってる。ここのお店でもそうだけど、10周年ってことでどこかでハコ借りてやろうかなと。去年、一昨年の周年の時なんかはDJとかラッパー呼んで、ここで歌ってもらったりとかもしたね。

 
 
-以上
 
大の日本語ラップ好きで、今ではググっても出てこないようなアングラな情報から、メジャーどころまで、ありとあらゆる知識を持つイマダさん。
 
ヒップホップファンの方はぜひ、オーバー・ラップに足を運んでイマダさんとの濃い〜会話を楽しんでみてはいかがでしょうか。

Shop Info
お店:Bar OVER RAP
営業時間:22時〜GOOD MORNING(6時くらい)
定休日:木曜日
住所:沖縄県那覇市久茂地3-9-21